楽天市場のR-Karteに搭載されている店舗カルテ分析支援AIは、主要な数値の変化を把握し、その後の分析や改善につなげるための支援機能です。
店舗運営では、数字に変化があっても「どこから確認すればよいか」「次に何を調べればよいか」が分かりにくいことがあります。店舗カルテ分析支援AIを使えば、変化したポイントを把握しやすくなり、分析の優先順位を整理できます。
ただし、AIが売上変化の原因や実施すべき施策まで自動で決めるわけではありません。AIの解説を起点に、商品、広告、在庫、イベント、商品ページなどを確認し、原因を絞り込む必要があります。
本記事では、店舗カルテ分析支援AIの使い方、確認できる数字、分析結果の見方、売上改善につなげる方法を解説します。
楽天市場のAI分析とは
店舗カルテ分析支援AIは、RMSのデータ分析機能「R-Karte」の店舗カルテから利用できます。
店舗カルテにある「データをAIで解説」を実行すると、売上、アクセス人数、転換率、客単価などのデータを前年と比較し、売上の傾向や特徴を文章で確認できます。
たとえば、売上が前年より下がっている場合でも、アクセス人数が減っているのか、転換率が下がっているのか、客単価が下がっているのかによって、次に確認すべき内容は異なります。
店舗カルテ分析支援AIは、こうした数字の変化を整理し、その後に詳しく確認すべきポイントを見つけるための入口として活用できます。
店舗カルテ分析支援AIを使うメリットは、数字の変化を文章で把握しやすくなることです。
たとえば売上が前年より下がっている場合でも、アクセス人数が減っているのか、転換率が下がっているのか、客単価が下がっているのかによって、次に確認すべき内容は異なります。
店舗カルテ分析支援AIは、売上改善の答えを出す機能というより、どこから分析を始めればよいかを判断するための入口として活用するとよいでしょう。
(出典:楽天グループ株式会社「『楽天市場』、AIを活用した店舗運営の効率化や生産性向上を推進・支援」)
店舗カルテ分析支援AIは何を分析する?
店舗カルテ分析支援AIは、売上と、それを構成するアクセス人数、転換率、客単価などの変化を中心に解説します。
売上は、次のように分けて考えると確認しやすくなります。
売上 = アクセス人数 × 転換率 × 客単価
- アクセス人数は、店舗や商品ページを訪れた人の数です。
- 転換率は、アクセスした人のうち購入に至った割合を示します。
- 客単価は、売上金額を売上件数で割った、1件あたりの平均購入金額です。
たとえば売上が前年より下がっている場合でも、次のように複数の状態が考えられます。
- アクセス人数が減っている
- アクセス人数は変わらないが、転換率が下がっている
- 転換率は変わらないが、客単価が下がっている
- 複数の数字が同時に下がっている
店舗カルテ分析支援AIを使えば、どの数字に変化があるのかを文章で把握しやすくなります。
一方で、「アクセス人数が減ったのは広告が原因」といったところまで自動で確定するわけではありません。原因を調べる場合は、店舗カルテ分析支援AIの解説をもとに、R-KarteやRMS内の情報を追加で確認します。
R-Karteでは、商品や顧客に関するデータのほか、同一ジャンルの店舗平均や自店舗の前年データなども確認できます。これらはR-Karte全体で確認できる情報であり、店舗カルテ分析支援AIの解説と組み合わせて確認することで、数字の変化から原因の仮説を立て、次の改善施策につなげやすくなります。
(出典:楽天市場出店「R-Karteで売上データを分析する」)
AIの解説を売上改善へつなげる方法
店舗カルテ分析支援AIの解説を確認したら、変化した数字に合わせて追加確認を行います。
AIの文章をそのまま施策に置き換えるのではなく、元の数字や販売条件を確認したうえで改善内容を決めることが重要です。
売上とアクセス人数が下がっている場合
アクセス人数が減っている場合は、店舗や商品ページへの流入に変化がないか確認します。
たとえば、次のような項目です。
- 商品別の検索キーワード
- RPP広告などの広告実績
- 楽天スーパーSALEやお買い物マラソンなどのイベント条件
- 商品の欠品や販売停止
- 検索結果での商品の表示状況
- メルマガやLINEなどからの流入
前年と今年でイベントの日程や広告費、在庫状況などが異なれば、単純に前年同期の数字だけを比較して判断することはできません。
たとえば、前年は楽天スーパーSALEの対象期間だったものの、今年は比較期間から外れている場合、売上やアクセス人数に差が出る可能性があります。
数字の変化だけでなく、その期間に何が変わったのかを確認しましょう。
アクセス人数は同じでも転換率が下がっている場合
アクセス人数が大きく変わっていないのに、購入につながる割合が下がっている場合は、商品ページや販売条件を確認します。
- 商品画像で商品の特徴が伝わっているか
- 商品説明が読みやすいか
- 価格や送料に変化がないか
- 納期が長くなっていないか
- 欠品しているバリエーションが増えていないか
- レビューで同じ不満が増えていないか
- クーポンやキャンペーンの条件がわかりにくくなっていないか
アプリやスマートフォンからのアクセスが多い商品では、アプリやスマートフォンでの表示も確認しましょう。
重要な情報が見つけにくい場合は、商品画像や説明内容、掲載する情報の順番などを見直します。
改善を行う際は、変更する内容だけでなく、「どの数字を」「いつ確認するか」まで決めておくと、施策の効果を判断しやすくなります。
転換率は同じでも客単価が下がっている場合
転換率が変わっていないにもかかわらず客単価が下がっている場合は、購入されている商品の内容を確認します。
- 高価格商品の販売数が減っていないか
- まとめ買いが減っていないか
- セット商品の在庫が切れていないか
- 関連商品への案内が弱くなっていないか
- クーポンや値引きが客単価に影響していないか
- 売れている商品の構成が変わっていないか
客単価を上げるためにセット商品やまとめ買いを提案する場合も、単価を上げることだけを目的にするのではなく、顧客にとって必要な組み合わせになっているかを確認することが重要です。
売上が増えている場合も原因を確認する
売上が増えている場合も、結果だけを確認して終わらせないようにします。
どの商品、検索キーワード、広告、イベントなどが売上増加につながった可能性があるのかを確認します。
たとえば、一時的なポイント施策によって売上が増えた場合と、商品ページを改善した後に転換率が継続して上がっている場合では、次に取るべき行動が異なります。
再現できる可能性がある施策については、実施内容と結果を記録し、ほかの商品への展開を検討します。
店舗カルテ分析支援AIを毎月の店舗運営に組み込む
店舗カルテ分析支援AIは、売上が下がったときだけ使うのではなく、月次の振り返りに組み込むと継続的に活用しやすくなります。
たとえば、次の流れで確認します。
- 店舗カルテで対象期間を選ぶ
- 「データをAIで解説」を実行する
- 売上、アクセス人数、転換率、客単価の変化を確認する
- 元の数字と前年の同じ期間を照合する
- イベント、曜日、広告費、欠品、価格変更などの条件差を確認する
- 必要に応じてR-KarteやRMSのデータを追加で確認する
- 改善する項目を1〜3つ程度に絞る
- 担当者、期限、確認する指標を決める
- 次回の振り返りで結果を確認する
AIが生成した文章だけを保存するのではなく、次のような内容も一緒に記録しておくと、施策につなげやすくなります。
| 記録する項目 | 内容 |
|---|---|
| 変化した数字 | 売上、アクセス人数、転換率、客単価 |
| 考えられる要因 | 広告、イベント、商品、価格、在庫など |
| 追加確認 | R-KarteやRMSで確認する内容 |
| 次の施策 | 商品ページ改善、広告調整、在庫補充など |
| 確認日 | 施策後の数字を確認する日 |
店舗カルテ分析支援AIの解説を「変化を見つける入口」として使い、その後の調査、施策、効果確認までを一つの流れにすることが重要です。
店舗カルテ分析支援AIを使う際の注意点
店舗カルテ分析支援AIはデータ確認を効率化するために役立ちますが、AIの解説だけで判断を完結させないことが重要です。
AIの説明を原因の確定と考えない
売上とアクセス人数が同時に下がっていても、アクセス人数の減少だけが売上減少の原因とは限りません。
広告、在庫、イベント、価格、季節要因など、複数の条件が影響している可能性があります。
AIの説明は、原因そのものではなく、どの数字を詳しく確認するかを判断する材料として利用しましょう。
前年との条件差を確認する
前年との比較では、数字だけでなく販売条件も確認します。
たとえば、次のような条件です。
- 楽天スーパーSALE
- お買い物マラソン
- 曜日や祝日
- ポイント施策
- 広告費
- 商品価格
- 在庫状況
前年と今年で条件が異なれば、売上やアクセス人数などにも差が出る可能性があります。
比較する際は、数字だけではなく、その期間の販売条件も確認しましょう。
R-Karte全体の機能とAIの解説範囲を分ける
R-Karteでは、店舗カルテ以外にもさまざまなデータを確認できます。
ただし、R-Karteで確認できるすべての情報を店舗カルテ分析支援AIが自動で分析しているわけではありません。
AIが示した数字の変化をきっかけに、必要なデータを担当者が追加で確認するという使い方が基本です。
AIの解説は元データと照合する
AIが生成した文章は、元の数字と照合して内容を確認します。
特に、社内の意思決定や施策の判断に利用する場合は、AIの文章だけで判断せず、対象期間や数値、販売条件などを確認してください。
AIは分析作業を補助するものとして活用し、最終的な判断は店舗側で行うことが重要です。
AI分析後に楽天市場 運営代行を検討すべきケース
店舗カルテ分析支援AIを使えば、主要な数字の変化は把握しやすくなります。
一方で、数字から課題を見つけられても、商品ページの修正や広告調整、販促施策まで自社だけで継続することが難しい店舗もあります。
たとえば、次のような場合は楽天市場 運営代行を検討する方法があります。
| 店舗の状況 | 確認したいこと |
|---|---|
| 分析後の改善施策が進まない | 商品ページや販促施策の実行まで対応できるか |
| 広告と商品ページを別々に改善している | 分析結果を広告やページ改善に一体的に反映できるか |
| 店舗運営に使える時間が足りない | 社内担当者と運営代行会社の役割を分けられるか |
| 分析や改善方法が担当者によって異なる | 月次の分析や改善手順まで整理できるか |
運営代行会社を選ぶ際は、対応する作業の量だけではなく、改善提案の根拠や施策後に確認する数字まで比較することが重要です。
楽天市場 運営代行へ相談する前の確認事項
楽天市場 運営代行へ相談する場合は、「何に困っているのか」「どこまで任せたいのか」を事前に整理しておくと、必要な支援範囲を判断しやすくなります。
1. 現在の課題を数字で整理する
「売上を上げたい」だけではなく、アクセス人数、転換率、客単価など、どの数字に課題があるのかを整理します。
たとえば、
- アクセス人数が前年より減っている
- 転換率が低下している商品がある
- 広告を出しているが効果を判断できていない
- 分析はできても改善施策まで実行できていない
といった形で具体化しておくと、相談内容が明確になります。
2. 自社で対応できる業務と任せたい業務を分ける
楽天市場の店舗運営には、分析、商品ページ制作、広告運用、販促施策、商品登録などさまざまな業務があります。
社内で継続できる業務と、外部に任せたい業務を分けておきましょう。
3. 運営代行会社に任せる範囲を確認する
分析や改善提案だけを依頼するのか、商品ページの制作や広告調整などの実行まで任せるのかを確認します。
また、施策後の効果確認まで行うのかも重要です。
「提案まで」「実行まで」「効果確認まで」のどこを依頼するのかを整理しておくと、契約後の認識違いを防ぎやすくなります。
4. 承認方法とRMSの権限を決める
商品ページの変更、広告費の調整、クーポンやキャンペーンの実施など、店舗側の承認が必要な業務を決めます。
RMSについても、担当業務に応じて必要な権限を設定し、誰がどの操作を行うのかを明確にします。
5. 報告内容と効果確認の方法を決める
運営代行会社からの報告では、「何を実施したか」だけでなく、次の内容まで確認できると改善につなげやすくなります。
- どの数字が変化したか
- なぜその施策を実施したか
- 施策後にどの数字を確認するか
- 次に何を改善するか
アクセス人数、転換率、客単価、広告実績など、施策ごとに確認する指標も決めておきましょう。
6. 自社の課題に合った支援を受けられるか確認する
運営代行会社によって、得意な業務や対応範囲は異なります。
料金や作業量だけではなく、分析方法、改善提案の根拠、商品ページ制作、広告運用、報告頻度、効果確認などを比較しましょう。
相談時には、次の情報を整理しておくと状況を伝えやすくなります。
- 現在の売上と目標
- アクセス人数、転換率、客単価の推移
- 実施中の広告や販促施策
- 売れ筋商品と課題のある商品
- 社内で対応できる業務
- 外部へ任せたい業務
- 広告や運営に使える予算
- 改善したい時期や目標
まとめ|店舗カルテ分析支援AIは売上改善の入口として活用する
楽天市場のR-Karteに搭載されている店舗カルテ分析支援AIは、売上、アクセス人数、転換率、客単価などの変化を前年と比較し、売上の傾向や特徴を文章で確認できる機能です。
数字を一つずつ確認するだけでは変化を把握しにくい場合でも、AIの解説を使うことで、どの数字から詳しく確認すべきか判断しやすくなります。
ただし、AIの解説だけで売上が変化した原因や実施すべき施策が決まるわけではありません。
アクセス人数が下がっている場合は流入や広告、転換率が下がっている場合は商品ページや販売条件、客単価が下がっている場合は購入商品の構成などを追加で確認する必要があります。
店舗カルテ分析支援AIを、「数字の変化を見つける → 原因を調べる → 施策を実行する → 効果を確認する」ための入口として活用することが重要です。
「数字は確認できているものの改善施策まで進められない」「分析から商品ページや広告の改善まで対応する人手が足りない」という場合は、楽天市場 運営代行を活用する方法もあります。
ベイクロスマーケティングでは、楽天市場の店舗分析、販売戦略、商品ページ制作、広告運用、販促施策など、店舗運営を支援しています。
自社だけで改善を進めることが難しい場合は、現在の課題と任せたい業務を整理したうえでご相談ください。
ベイクロスマーケティング株式会社
ECコンサルタント 安田 駿祐
監修者プロフィール
楽天市場、Yahoo!ショッピング、Amazon、自社ECなど、複数チャネルのEC運営・Webマーケティングに従事。商品構成、販売設計、価格戦略、広告運用、商品ページ改善、CRM施策など、売上・利益改善に向けた施策の立案・実行を行っている。
業種・規模の異なるEC事業者を支援し、商材特性や競合状況、購買データをもとに「選ばれる理由」を明確にした販売戦略の設計に取り組んでいる。
ベイクロスマーケティング株式会社について
ベイクロスマーケティング株式会社は、EC運営代行20年以上・累計200社以上の支援実績を持つEC支援会社です。ECモールや自社ECの運営、広告運用、転換率改善、業務効率化などを支援しています。
※本記事は2026年7月時点の情報をもとに監修しています。
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