2025年3月に楽天市場の定期購入システムが大幅にリニューアルされました。
楽天市場でリピート施策を検討する際、「定期購入」の導入は選択肢の一つとして検討されることが多い仕組みです。楽天独自のイベント施策やユーザー行動との相性を十分に理解しないまま導入すると、思わぬ落とし穴に陥る可能性もあります。
本記事では、リニューアル後の楽天定期購入の仕組みや仕様を整理したうえで、ユーザー・店舗双方の視点から、メリットとデメリットを解説します。
2025年の定期購入サービスの主な仕様変更点
楽天は今回のアップデートについて、ユーザーにとっての「分かりやすさ・お得さ」と、店舗にとっての「管理のしやすさ」の両面で改善を行ったとしています。
主な変更点と要点は以下の通りです。
1. ユーザー向け:お買い物体験の向上
これまで通常購入と定期購入は別々のページに分かれていることが多かったですが、リニューアル後は同一ページ内で選択でき、比較しやすくなりました。
- 価格の透明性: 通常価格と定期購入価格が同じ画面で比較できるようになり、「定期なら〇〇円お得」という割引率がひと目で分かります。
- 5%以上の割引が必須化: 新システムでの定期購入は、原則として通常価格より5%以上安く設定することがルール化されました。
- SPU(ポイントアップ)の対象に: 2025年4月より、定期購入の注文もSPU(スーパーポイントアッププログラム)の対象となりました。これまで以上に買いまわりがしやすく、ポイントが貯まりやすくなっています。
- スマホでの管理が便利に: スマートフォン版の「申し込み履歴」から、お届けサイクルの変更や解約などの手続きがよりスムーズに行えるようになりました。
2. 店舗向け:運用コストと管理の改善
店舗側にとっても、導入のハードルを下げるための大幅な仕様変更が実施されています。
- 月額利用料の無料化: これまで定期購入の販売には月額5,000円(税別)のオプション料金が必要でしたが、リニューアル後はこの固定費が無料になりました(※別途、システム利用料に+2%の手数料が加算される仕組みへ移行)。
- 商品管理の統合: 通常商品と定期商品を別々に登録・管理する手間がなくなり、SKU(バリエーション)単位で定期価格を設定できるようになりました。
- 在庫連動の最適化: 以前は申し込み時に全回数分の在庫が確保される仕様でしたが、リニューアル後は各回の注文確定時に1回分ずつ在庫が引き落とされるようになり、在庫管理の負担が軽減されました。
一方で、検索結果一覧では定期購入価格ではなく通常価格がメイン表示される仕様となっており、定期購入の割引メリットは商品ページを開かないと伝わりにくい構造となりました。
楽天定期購入のメリット
楽天市場における定期購入には、ユーザー・店舗の両方にとって一定のメリットがあります。まずは、それぞれの立場から見た利点を整理してみましょう。
ユーザー側のメリット
- 毎回の注文手続きが不要
一度申し込めば、設定した間隔で自動的に商品が届くため、購入の手間がかかりません。特に日用品や消耗品など、定期的に必要となる商品では利便性が高いです。 - 継続利用の心理的ハードルが下がる
「また買わなきゃ」という負担感が軽減され、自然とリピートにつながります。 - 同一商品ページ内での選択が可能
リニューアルにより、通常購入と定期購入を簡単に切り替えられるため、迷わず選択できるようになりました。
店舗側のメリット
- リピート率の向上が期待できる
定期購入は、自動的に購入が繰り返されるため、安定的な売上につながる可能性があります。 - 顧客ロイヤルティの強化
定期購入を通じて長期的な関係が築ければ、他の商品購入やレビュー投稿などにもつながりやすくなります。 - 価格訴求による購入率アップ
定期購入限定の割引や特典を設けることで、初回申込のハードルを下げやすくなります。
日用品や消耗品など、購入サイクルが明確な商品では、一定のニーズが存在するのは事実です。しかし、ここで考えるべきなのが、楽天ならではのユーザー行動です。
定期購入のデメリットと楽天特有の課題
楽天の定期購入は便利な仕組みである一方、楽天市場という特有のプラットフォーム上では、いくつかの見落としがちなデメリットや課題があります。
ここでは、ユーザー行動や検索仕様との相性を踏まえて、主な注意点を整理します。
①検索結果での「価格表示」のギャップ
楽天市場の検索結果では、商品ページ内に定期購入価格が設定されていても、検索一覧には通常価格がメインで表示される仕様となっています。
このため、定期購入の価格的メリットが露出されにくく、「割高な商品」と誤解されるリスクがあります。
たとえば、同じカテゴリ内に“定期購入割引あり”の商品があっても、ユーザーの検索段階では「割高な商品」と誤解され、クリック率や購入率が下がってしまう可能性があります。
②イベントやキャンペーンとの相性が悪い
楽天では「お買い物マラソン」や「スーパーSALE」など、イベント時にまとめ買いする行動が一般的です。
その理由は、買い回りによってポイント付与率が段階的に上がる仕組みがあるため、多くのユーザーが複数店舗での購入を前提に買い物をしているからです。 一方で、定期購入は買い回りキャンペーンの対象外となるため、ポイントを最大化しにくいという側面があります。
そのためユーザーにとっては、「イベント時に通常購入したほうがポイント還元が高い」と判断しやすく、結果として定期購入の優位性が伝わりにくくなるケースがあります。
③運用上の工夫がしづらい
楽天の定期購入は仕組み上、細かなリピート施策を設計しづらいという課題があります。
たとえば、購入回数に応じて特典を変えるといった「ステップ施策」や、定期購入者だけに向けた特別な案内・クーポン配布などが行いにくい構造です。
また、通常購入と定期購入で訴求内容を明確に分けることも難しく、結果として「少し安いだけの購入方法」になりやすい傾向があります。
このように、楽天の定期購入は導入そのものが難しいわけではありませんが、売上拡大に直結するような戦略的活用が難しい設計である点が、運用上の課題となっています。
定期購入で実際に起きた失敗事例とその原因
楽天の定期購入は、正しく設計すればリピート促進に役立つ仕組みです。
一方で、楽天の仕様やユーザー行動を十分に理解しないまま導入・変更を行うと、かえって売上を落としてしまうケースもあります。
ここでは、実際に起きた失敗事例をもとに、その原因と学べるポイントを整理します。
事例:定期リニューアル後、新規売上が大幅に減少
ある店舗では、「初回価格を大幅に安く設定した定期購入」により、新規顧客獲得を伸ばしていました。
サムネイル画像でも初回定期価格を大きく訴求し、検索結果上でも価格の安さが伝わる状態でした。
しかし、2025年の定期購入リニューアル後、新規売上が大幅に減少しました。
検索画面で“高い商品”に見えるように
大きな要因は、楽天の検索画面における価格表示の仕様です。
現在の楽天の検索結果では、定期購入価格ではなく通常価格が大きく表示される仕様になっています。そのため、
・定期購入の初回価格は安い
・通常価格は高い
という価格設計にすると、検索画面上では「高い商品」に見えてしまいます。
この店舗では、サムネイル画像内に「定期初回〇〇円」といった価格訴求を大きく入れる工夫も行っていても、状況は改善しませんでした。
結果として分かったのは、ユーザーはサムネイル画像の訴求よりも、検索結果に表示される“価格表記”を見て商品を比較しているという点です。
検索画面上で、
- 表示される価格が高い
- そもそもクリックされない
という構造になってしまい、初回定期価格の優位性がユーザーに届かないまま、新規顧客の流入が大きく減少する結果となりました。
この失敗事例から学べるポイント
楽天で定期購入を活用する場合は、定期購入の価格だけを見るのではなく、検索画面での見え方を前提に設計することが重要です。
たとえば、
- 検索結果に表示される通常価格が競合より高くならないか
- 初回定期価格のメリットが、検索段階で埋もれていないか
- 新規流入の多くを検索に依存していないか
といった点は、必ず事前に確認すべきポイントです。
まとめ:定期購入は“使いどころ”が重要
楽天の定期購入は、条件が合えば有効に機能する仕組みです。
しかし、楽天独自のイベント施策や検索仕様を踏まえると、すべての店舗・すべての商品に向いているわけではありません。
定期購入に固執せず、ユーザーが最もお得で、自然に繰り返し購入できる形を設計すること。それが、楽天店舗運営における本質的なリピート施策と言えるでしょう。
楽天運用における本質は、ユーザーがどのように買い物しているかを理解し、それに合ったリピート導線を設計することです。
- ユーザーが再購入しやすいタイミングはいつか?
- どんな価格帯ならイベント時に選ばれるのか?
- 定期購入よりも、通常購入の導線を整えた方が効果的ではないか?
導入するかどうかで迷っている方は、まずは「ユーザーの買い方」を分析するところから始めてみてください。
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